GWの郵便配達はなぜ遅れたのか? 背景にあった過酷な「深夜勤務」、郵政民営化のひずみを考える
近代郵便制度なぜ生まれたのか

郵便料金は全国一律だ。対して、民間の宅配便は地域によって配送料金が異なる。郵便料金が均一なのは、郵便制度が均一料金を大前提としているためだ。
近代郵便制度では、
1.政府職掌による低額な全国均一料金
2.国内全域の郵便集配ネットワーク
3.切手などによる料金前納
4.利用の平等性
が前提とされている(「日本における近代郵便の成立過程―公用通信インフラによる郵便ネットワークの形成―」井上卓朗)。
この制度は1840年、イギリスのローランド・ヒルの改革によって始まった。それ以前から。イギリスでは国による郵便サービスが実施されていた。
ところが、制度は多数の問題を抱えていた。国会議員や政府高官など一部の階級は郵便料金が無料。料金は距離と手紙の枚数で変動し、支払いは受取人払い――といったものだった。
結果、郵便料金が無料になる人たちを通して郵便物を送る人が殺到。受取人が支払いを拒否し、手紙が差し戻されることも多かった。かつ、不合理な制度のため郵便料金は高額だった。
そうした制度を改革する中で生まれたのが近代の郵便制度だった。日本では明治時代に1円切手の肖像になっている前島密(ひそか)によって導入された。
全国一律の制度であるため、郵便の配達日などは郵便法によって定められている。土曜日の配達廃止でも郵便法は改正され、条文では第70条に
「一週間につき五日以上郵便物の配達を行うことができるものとして総務省令で定める基準に適合する郵便物の配達の方法が定められていること」
と記されている。
前述のとおり、インターネットの普及で郵便物は減少した。それでも郵便はインフラであるため、利益が出ないからといってポストを減らしたり、配達を取りやめたりすることはできない。その結果、配達日が遅くなるのは苦肉の策といえるだろう。
利益が望めなくなっている郵便事業。これを民営企業が担うことの是非を再考する必要があるのではないか。