多摩川で消える「100万円」の恩恵――家計を蝕む自動車の固定負債、境界線一つで分断される生活支援と移動格差の正体

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地方居住者の生活費は全国平均29.65万円を上回る一方、都市部は公共交通の恩恵で支出抑制。自動車維持費が家計を圧迫する地方で、官民連携による移動インフラ化の必要性が高まっている。

移動権のインフラ再定義

KGモーターズ・mibot(画像:KGモーターズ)
KGモーターズ・mibot(画像:KGモーターズ)

 地方の潜在的な移動ニーズを満たし、家計の崩壊を防ぐためには、行政とメーカーが既存のビジネスモデルを脱却する段階にある。地方自治体の財源が逼迫していることは事実だが、移動手段の確保を医療や水道と同様の基礎インフラと位置づけ直せば、支援の優先順位は変わるはずである。

 東京都のような一律の大規模補助が困難であれば、

・車検費用の一部負担
・燃料費支援

といった、維持コストに直接介入する施策を検討すべきだろう。特に通院や買い物を自家用車に依存せざるを得ない高齢者にとって、移動のコスト負担を軽減することは、地域社会の存続を左右する安全保障の問題である。

 国政レベルにおいても、全国一律の自動車税制が地方住民に強いている逆進性を是正する必要がある。公共交通が充実した都市住民には軽く、選択肢のない地方住民には重くのしかかる現在の税体系は、居住地による公平性を欠いている。走行距離や地域内の公共交通密度に連動した、地理的な条件を考慮した税制への転換こそが求められる。

 メーカー側も、すべての車両に最高水準の安全装備やデジタルデバイスをパッケージ化する手法を見直すべきである。地方の生活実態に特化した、必要最低限の装備に絞り込んだ廉価版モデルの市場投入は、既存の利益構造を打破する破壊的イノベーションとなる可能性がある。

 さらに、KGモーターズの「mibot」やタケオカ自動車工芸の「Lala」のように、最高速度を60kmに制限しながらも100万円台という価格を実現した超小型モビリティは、地方のセカンドカー需要や高齢者の移動手段として極めて高い適合性を持つ。大手メーカーがこうした領域へ本格参入し、量産効果によるさらなる低価格化を実現できれば、地方における移動のコスト構造は劇的に改善されるはずである。

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