「最先端」の正体はポンコツだった? サンフランシスコ大停電で見えた「ロボタクシー」の“自律”の限界
サンフランシスコで13万人が影響を受ける大規模停電が発生。ウェイモのロボタクシーは立ち往生し、クラウド依存の自律走行の脆弱性と都市インフラへのリスクが浮き彫りになった。
市場が予見していた脆弱性

全米自動車協会(AAA)が2025年初めに行った調査では、ドライバーの7割近くがロボタクシーを不安視している。このデータが示したロボタクシーに対する不信感は、「想定外の事態への脆弱性」を市場が予見している証左である。
通信の優先順位については、災害時でも個人利用と帯域を奪い合う公共LTEを産業用制御に用いる構造は、経済的に不合理である。緊急時には人命が最優先されるトリアージが必要となるため、予め帯域を利用者によって層別することが必要となる。
今回はテスラとの実力差が露呈したが、オンボード処理重視の他社モデルでも問題なく運行できた事実は、過度なクラウド依存がもたらすリスクを証明したとも受け取れる。
幸いにも、ウェイモのロボタクシーが人身事故を起こした事例は報告されなかった。ウェイモによるロボタクシーの高速道路での運行が限定的であったことも、重大事故につながらなかった要因と考えられる。しかしながら、道路上で緊急車両を足止めし、都市全体の交通網を不安全にした責任は、個別の安全論では正当化できず、決して看過できない。
ウェイモが今後取るべきアクションは、自治体に対して停電時における信号機の安全面の強化や機能の高度化などを求めることではない。どんなに劣悪な環境下でも「自力で動ける」車両を開発することが、事業者としての責務であることを自覚すべきだ。
さらに安全を優先するのであれば、テスラのように監視員を同乗させることが考えられる。これによってウェイモの収益性は低下する。だが、今回の騒動が招いたブランド毀損や法的リスクをコストとして換算すれば、それをはるかに上回る。ロボタクシーの有人回帰は、コスト増を招くことは不可避だが、結果的に発生コストを最小化できる可能性がある。