年賀状を「返さない人」7割超──それでも6割が喜ぶ、日本人の矛盾! 「LINEで十分」の裏に残る罪悪感とは
年賀状をもらっても返事を出さない「年賀状スルー」は71.5%に達した。一方、68.0%は「もらうと嬉しい」と回答。効率化が進む社会で、手間をかける行為の価値と人間関係の“非効率”が改めて浮かび上がる。
関係維持のコスト選択

「年賀状スルー」経験者の58%が申し訳ないと感じたという結果は、多くのことを考えさせる。
自分で「出さない」と決めたはずなのに、心のなかでは完全には納得できていないのではないか。デジタルのやり取りがどれほど速くなっても、それは人間関係を続ける確かな証拠にはなりにくいからだ。
年賀状を送るかどうかは、あいさつの有無をこえて、相手とのつながりを守るために自分のエネルギーをどれだけ使うかという意思の表れだろう。
物流の仕組みで考えると、年賀状を送ることは自分から発送を始める積極的な輸送活動といえる。郵便という大きな仕組みを使い、相手の手元まで届けるための道筋を、自分自身で動かす行為だ。
送り手自身が、相手の家のポストまで届けるリレーの
「第一走者」
となって力を注ぐ。だからこそ、ハガキは情報の通知をこえた重みを持つ。すべての手間を省いて効率だけを求めると、人は相手に対して何も返していないという不安に直面する。このエネルギーの使い方の差、つまり「どちらがより多く動いたか」というアンバランスさが、申し訳なさという心の負担になって現れるのだろう。