EV普及の裏で何が起きているのか? 豪州鉱山を揺るがすSNS採用――EVサプライチェーン不安定化の深層とは

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EV普及の裏で、資源供給の最前線が揺れている。豪州では年収1700万円超でも人手不足が解消せず、SNS経由の即席採用が拡大。再生数1億回超の「#Fifo」バズが、鉱山労働とEVサプライチェーンに新たな不安定性をもたらしている。

SNSが動かす採掘労働市場

 こうした環境のもと、英オブザーバー紙は2025年11月13日、「オーストラリアの「フライイン・フライアウト」鉱山で発覚した虐待(Abuse unearthed in Australia’s ‘fly-in, fly-out’ mines)」と題する衝撃の記事を掲載した。実際に採掘現場で働いた経験を持つ従業員10人への取材に基づく内容である。

 記事が焦点を当てたのは、FIFO鉱山の雇用実態だ。高賃金や半月単位の休暇をうたう情報が、

「TikTok」

を通じて拡散した。発信者の多くは現場で働く女性で、インフルエンサーとして若者の関心を集めた。こうした投稿に引き寄せられ、欧州各国から多くの若者がオーストラリアへ渡航した。

 しかし、現地で待っていたのは理想とは異なる労働環境だった。記事では、長時間労働や劣悪な生活環境に加え、性暴力被害の訴えも紹介している。高収入を期待して海を渡った若者が、深刻なリスクに直面している実態が浮かび上がった。

 オブザーバー紙はこの現象を、単なる労働問題としては捉えていない。EVサプライチェーンの末端を担う採掘現場において、人材確保が短期動員型へと移行したことを示す象徴的な事例だと位置づけた。SNSを通じた「バズ化」が、鉱業労働市場の構造変化を加速させていると指摘している。

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