なぜ「中国EV叩き」は止まらないのか? 0.1%が8割を拡散、歪んだネット世論が日本車の「進化判断」を狂わせる
BYDの低価格EVや中国メーカーの技術進歩に、日本市場は心理的衝撃を受けやすい。SNS上の過激投稿は全体の3%のアカウントが33%を占め、10万人調査では投稿者の約半数が0.23%と少数派であることも判明。感情と事実が交錯する現場を分析する。
市場が決める淘汰の現実

今回、あえて嫌中コンテンツの問題を取り上げたのは、中国製EVへの執拗な攻撃が、自動車産業の問題であると同時に情報環境の影響も含むことを伝えたかったからだ。
「自動車を本当に愛する立場」
であれば、個人の好き嫌いや海外に対する感情を抑え、冷静に良いものと悪いものを見極める姿勢が必要である。その先の選択は消費者自身に委ねられるもので、強制することはできない。
市場は常に変化しており、生き残る製品と淘汰される製品を決めるのは最終的に消費者の選択である。嫌中コンテンツを通じて中国に「勝つ」ことは、メーカーの競争力やブランド価値を正しく反映するものではない。重要なのは、日本車が持つ技術や品質、信頼性を通じて世界に選ばれることである。
情報やコメントに流されると、消費者の評価も感情に引きずられやすくなる。繰り返すが、記事を作る側は、読者が冷静に判断できる材料を提供し、感情と事実を切り分ける記事構成を意識する必要があるだろう。消費者が技術、価格、産業構造、政策を正しく理解し、比較・選択できることこそ、市場全体の健全な競争につながるのだ。
だが問われているのは、個々のライターの倫理観だけではない。クラウドソーシングで1本1500円から発注される嫌中動画が、誰の利益のために量産されているのか。そしてそのコンテンツが、日本の自動車産業の競争力低下を隠蔽する煙幕として機能しているのではないか。
感情に訴える情報が低コストで拡散される構造そのものが、冷静な市場判断を妨げ、結果として日本メーカーの進化を遅らせているのかもしれない。筆者は「自動車を本当に愛する立場」として、そう考える。