なぜ「中国EV叩き」は止まらないのか? 0.1%が8割を拡散、歪んだネット世論が日本車の「進化判断」を狂わせる

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BYDの低価格EVや中国メーカーの技術進歩に、日本市場は心理的衝撃を受けやすい。SNS上の過激投稿は全体の3%のアカウントが33%を占め、10万人調査では投稿者の約半数が0.23%と少数派であることも判明。感情と事実が交錯する現場を分析する。

中国EVの競争力が刺激する劣等感

中国(画像:Pexels)
中国(画像:Pexels)

 BYDを例に、中国EVは国際競争力において明確な強みを持つ。技術革新、価格競争力、そして世界各地の自動車市場への影響力が同時に存在する。そのため日本の消費者や業界関係者が中国や中国車を見ると、

・不安
・劣等感
・被害者意識

が刺激されやすい。こうした心理的反応は、感情的なものにとどまらず、日本メーカーの戦略やブランド評価にも影響を及ぼす。

 実際、10万人規模の国内調査によれば、ネット上で過激化しているのは主に高齢者であり、投稿の約半数は0.23%、すなわち

「435人にひとり」

が書き込んでいることが判明している(田中辰雄、浜屋敏)。また、接する論客の約4割は自分と反対の政治傾向の人であり、SNSユーザーの59%はニュースの元記事を読まず、タイトルだけを見てリツイートやコメントを行っていることも報告されている(米国2016年調査)。

 加えて、Robertsonら(2024)の研究「Inside the funhouse mirror factory: How social media distorts perceptions of norms(歪んだ鏡工場の内部:ソーシャルメディアが規範の認識をどう歪めるか)」によれば、SNS上のコンテンツは極端な少数ユーザーが支配しており、全体のわずか3%のアカウントが投稿の33%を占め、オンライン上の衝突の74%は1%のコミュニティで発生しているという。この結果、一般ユーザーの大多数は受け身に閲覧するだけで、過激な意見が目立つ環境のなかで世間の規範を過大評価してしまう傾向がある。さらに、

「0.1%のユーザーが全フェイクニュースの80%を拡散」

しており、SNSは感情的・過激な投稿を増幅させる構造を持つことがわかる。このようにSNSは、ユーザーに「歪んだ鏡」を見せ、認識を誤らせやすい(Robertson, del Rosario & Van Bavel, 2024)。

 さらに、既に量産されてきた

「中国 = 悪」

という“物語テンプレート”の存在により、中国車や中国企業への批判は強まりやすい。価格の安さや技術的優位性に対しても、感情的な反発が先行し、冷静な技術比較や市場分析が置き去りになるケースも少なくない。嫌中コンテンツは、EVを中心とした自動車分野で中国の躍進に不快感を抱く日本人の反応を増幅させる。ライターの記事のコメント欄に現れる過激さは、社会全体の意見の平均ではなく、情報の受け手や消費者心理の特定の傾向を映し出している。

 動画やSNS、まとめサイトで広まった言語表現が流れ込み、同じ中国EVの記事が何度も“燃料”として消費される構図が形成されている。読者は、コメントが必ずしも世論を反映しているわけではないという視点を持つ必要があるだろう。

 筆者のような記事を作成する側として重要なのは、中国EVを無理に持ち上げたり貶めたりすることではない。冷静で客観的に、

・技術
・価格
・産業構造
・政策

の観点から整理し、読者が判断できる材料を提供することが求められるだろう。消費者が感情に流されず、各車種の特徴や価値を理解できる記事構成こそ、最終的に市場の健全な選択に寄与するのだ。

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