「環境性能割2年停止」で自動車は本当に甦るのか? ピーク比4割減の国内市場、税軽減の効果を問う

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国内の登録車はピーク時から約4割減少。政府・与党は購入時の環境性能割を2年間停止する方向だが、税負担軽減だけで回復は可能か。軽自動車需要拡大や若年層の車離れなど、複合要因を踏まえた市場活性化策が問われる。

税制度の歪みと「負担感」の実像

環境性能割の概要(画像:国土交通省)
環境性能割の概要(画像:国土交通省)

 政府試算によれば、環境性能割が廃止された場合、都道府県別の税収減は東京、神奈川、愛知、大阪の4都府県で100億円を超える見込みであり、自治体への影響が懸念される。

 自動車取得時には、購入段階で消費税と環境性能割が課され、保有段階では重量税や自動車税、さらにガソリン税も存在する。国税と地方税が複雑に入り組んだ多層構造で、制度全体の理解は容易ではないとの指摘も多い。

 自動車税制の本質的課題は税率の高さよりも、

・税体系の複雑さ
・政策目的の不明確さ

にある。各種税収の使途が不透明な部分もあり、制度全体の整理や調整が早急に求められている。

 国内の自動車市場は変化が著しく、需要構造の変容が市場に大きな影響を与えている。若年層の自動車所有率は低下しており、29歳以下の乗用車普及率は45%を下回る。20年前の67%から大幅に減少した。一方で都市部を中心にカーシェアやサブスクリプションサービスは増加している。交通エコロジー・モビリティ財団の調査によれば、カーシェア会員数は約470万人で前年比50%増となり、購入需要の代替が進んでいる。

 車両価格は原材料高騰などで上昇が続いている。自工会の調査によれば、車両の平均購入価格は264万円で、過去20年間で3~4割上昇した。可処分所得はほとんど変化しておらず、家計負担は増加している。

 こうした状況から、税負担軽減だけでは所得構造や消費行動の変化を覆すことは難しい。市場縮小は所得の停滞や価格上昇、都市構造にともなう消費行動の変化など複合的な要因によるものである。

 総務省によると、環境性能割の税収は2025年度で約1890億円見込まれ、うち都道府県分が約890億円、市町村分が約999億円で地方自治体にとって重要な財源となっている。

 当税が廃止されれば地方交付税の再分配が避けられず、簡単な対応では済まない。総務省が廃止に反対する背景には、財源確保だけでなく地域間の財政格差拡大への懸念もある。政治面では、経産省が自動車産業維持を優先する一方で、総務省は財源維持を優先しており、

「縦割り行政の対立構造」

が制度改革を遅らせている。

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