EV減速で浮上する別ルート――水素・SDV・異業種へ動く部品サプライヤーの現在地【連載】自動車部品業界ウォッチ(3)

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EV化やHV需要、水素車開発が同時進行する自動車市場で、国内エンジン部品サプライヤーは既存技術を活かし異業種や水素分野に挑戦し、新たな収益源と成長戦略を模索している。

事業リスクの先行対策

三菱電機のウェブサイト(画像:三菱電機)
三菱電機のウェブサイト(画像:三菱電機)

 EVシフトによるエンジン車の減少は、多くのエンジン部品サプライヤーに方針の見直しを迫っている。しかし、正面から既存市場だけで勝負するのではなく、新しい方向性を模索する動きも出てきている。

 国内のサプライヤーは特定分野で高度な技術力を有しており、高性能エンジンや車両開発を支えてきた。金属加工、樹脂加工、セラミック技術など、その領域は幅広い。こうした技術を自動車以外の分野に応用することで、事業の多角化を進め、エンジン部品以外の収益源を確保する狙いがある。

 過去の成功例として注目されるのは富士フイルムの事例だ。同社はかつて写真用フィルムを主力としていたが、デジタルカメラの普及でフィルム事業は縮小を余儀なくされた。そこで、培ってきた光学・化学技術を医療分野や化粧品開発に応用し、新たな事業領域を開拓した。現在ではヘルスケア分野が同社の主要事業に成長しており、技術の応用による事業転換の有効性を示す好例となっている。

 一方で、多角化に失敗するケースも少なくない。EVシフトの進行による市場構造の変化は避けられず、サプライヤーは既存事業に固執するだけでは安定した収益を維持できない。技術を生かした新規事業の開拓は、収益源の確保を超えて、自動車産業全体におけるサプライヤーのポジション維持にも直結する戦略となる。

 各社は、自社の技術資産をどう展開し、新しい市場価値に変換していくかが問われている。

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