EV減速で浮上する別ルート――水素・SDV・異業種へ動く部品サプライヤーの現在地【連載】自動車部品業界ウォッチ(3)
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EV化やHV需要、水素車開発が同時進行する自動車市場で、国内エンジン部品サプライヤーは既存技術を活かし異業種や水素分野に挑戦し、新たな収益源と成長戦略を模索している。
SDVへの戦略転換

サプライヤーが既存技術を新事業に応用する例は増えており、自動車関連にとどまらず、意外な分野への展開も見られる。
三菱電機はエンジンスターターや各種センサー、制御システムなど幅広い部品を手がけてきたが、EVシフトの進行にともない自動車関連事業は段階的に縮小している。電動車分野にも進出しているものの、EV一辺倒の動きが一服し、ハイブリッド車の需要も一定程度残るなかで、電動車とエンジン部品事業のバランスに課題を抱えている。
こうした環境変化を踏まえ、同社は2025年中に成長見込みの低い事業を見直すとともに、次世代車両制御や通信技術を軸とした「SDV(Software Defined Vehicle)」分野への進出を打ち出した。将来的にはSDVのソフトウェア事業を成長の柱に据える計画であり、部品製造中心の事業から一歩踏み込み、車両全体を俯瞰した技術・サービス提供型のビジネスモデルへの転換を狙う。
一方で、既存の自動車技術を別分野に応用する動きも続いている。広島拠点のハマダは、自動車部品で培った高度な金属精密加工技術を医療分野に応用し、人工関節や医療器具の製造に取り組む。人工関節では球体加工の精度が求められるため、同社の技術力が直結する分野だ。
また、日本特殊陶業は自動車技術で培ったセンサー技術を生かし、陸上でのエビ養殖事業に参入している。水質管理や生産プロセスの最適化に技術を応用し、効率的な生産体制を構築する計画だ。
SDVや異業種への進出は事業の幅広化にとどまらず、自動車産業全体の変化に対応した事業モデルの転換ともいえる。部品サプライヤーは、技術力を生かしつつ、車両の電動化やコネクテッド化、さらには新しい市場の成長を見据えた戦略が不可欠となる。