EV減速で浮上する別ルート――水素・SDV・異業種へ動く部品サプライヤーの現在地【連載】自動車部品業界ウォッチ(3)
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EV化やHV需要、水素車開発が同時進行する自動車市場で、国内エンジン部品サプライヤーは既存技術を活かし異業種や水素分野に挑戦し、新たな収益源と成長戦略を模索している。
エンジン部品の新たな収益源

既存のエンジン技術を生かしつつ別分野に展開する例として、水素自動車が挙げられる。
国内大手のトヨタが主導する分野であり、同社の水素自動車システムには水素エンジンが欠かせない。水素自動車は水素と酸素の化合によるエネルギーで駆動し、排出されるのは水のみ。ゼロ・エミッション車としてEVとは異なる環境対応策として注目される。
従来のガソリンエンジン技術を水素に対応させるには、エンジン部品サプライヤーに新規開発が求められる。例えばスパークプラグは水素エンジンでも必須の部品で、日本特殊陶業は世界シェア6割を持つ分野として、水素技術を将来の柱に位置づけている。水素自動車の普及が進めば、ガソリンエンジンの需要が縮小しても、既存技術を生かした事業展開が可能になる。
同社はさらに「SUISO no MORI(水素の森)」プロジェクトを打ち出し、水素社会の実現に向けた技術開発と社会実装に取り組む。部品製造に留まらず、社会インフラとの連携も視野に入れた戦略である。
トヨタ系サプライヤーのアイシンも、水素バルブなど既存技術の応用製品を開発しており、EV化の流れと並行して水素技術が普及すれば、部品サプライヤーの新たな収益源として機能する可能性が高い。
市場規模や政策動向、インフラ整備の進捗なども事業戦略の重要な要素となる。サプライヤーは技術を移植するだけでなく、業界全体の動きや将来の市場需要を見据えた戦略策定が不可欠となる。