ローカル線の奇跡? 「通過特急」で稼ぐ黒字鉄道――30年目の“曲がり角”を考える
兵庫・岡山・鳥取を結ぶ第三セクター鉄道、智頭急行は開業30年を超え、特急車両のリース料を含む営業収益27億円で黒字を維持する。過疎地沿線の小駅でも創意工夫による増収策を模索し、中長期の輸送人員減少への対応が今後の焦点となる。
売上の半分「車両リース料」

智頭急行が2025年6月に公表した決算によると、2024年度の営業収益は27億4487万円だった。このうち旅客運輸収入は13億5913万円、運輸雑収は13億8573万円を占める。
旅客運輸収入は、自社路線内の運賃や特急料金などの純粋な売上である。一方、運輸雑収は、智頭急行が保有する特急車両がJR区間を走行する際にJR西日本から受け取る「車両使用料」であり、売上の約半分は車両のリース料に相当する。
営業費用は24億9868万円で、営業利益は2億4618円だった。コロナ禍での赤字を脱し、前期に引き続き2年連続で黒字を計上したことになる。
第三セクター鉄道として、在来線の一部区間を高速走行可能な新線でショートカットし、JR直通の特急列車を運行することで高収益を上げる構造は、かつての北越急行(新潟県)に近い。だが北越急行は、北陸新幹線開業により特急列車が消滅し、一転して赤字路線に転落した。
一方、智頭急行は京阪神と鳥取を結ぶ新幹線の計画自体がほぼ白紙であり、当面は北越急行のような事態に陥る可能性は低い。高速道路、つまり高速バスとの競合も存在するが、現状では影響は限定的である。
伊勢鉄道(三重県)も智頭急行や北越急行に似た性格を持つが、近鉄という競合があるため状況は厳しい。