JRはなぜ「全国一括予約」できないのか? 1アカウントで使えない“縦割り構造”の実態

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JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州はネット予約サービスの連携を開始する。だが全国統一には程遠く、東北では鉄道利用者が依然割を食う。複雑な割引体系と会社間の壁が、利便性向上の足かせとなっている。

JR西「e5489」全国拡大と連携不要論

ネット予約サービスの連携(画像:JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州)
ネット予約サービスの連携(画像:JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州)

 取り扱いエリアを見ると、JR東日本は全国、JR西日本は関東・新潟エリア以西、JR東海は新幹線のみ、JR九州はJR西日本エリアまでと、各社の個性が際立つ。比較しているうちに、ふと

「JR西日本のe5489が全国対応になれば、連携は不要ではないか」

と思った。では、なぜe5489のエリア拡大だけでは十分ではなかったのか――。

 e5489の北限がある理由は、

・JR東日本が難色を示していること
・システム上の技術的課題
・JR西日本が「4時間の壁」を考慮して割り切っていること

のいずれかだろう。4時間の壁とは、航空機と鉄道のシェアが逆転する移動時間を指す。国土交通省の全国幹線旅客純流動調査(第6回・2015年度)を見ると、航空機と鉄道の利用者数に明確な差があることがわかる。

●利用交通機関(千人/年)

・青森 → 大阪:航空50、鉄道11
・岩手 → 大阪:航空61、鉄道32
・宮城 → 大阪:航空281、鉄道65
・秋田 → 大阪:航空54、鉄道9
・山形 → 大阪:航空52、鉄道19
・福島 → 大阪:航空60、鉄道95

・大阪 → 青森:航空53、鉄道11
・大阪 → 岩手:航空61、鉄道33
・大阪 → 宮城:航空283、鉄道68
・大阪 → 秋田:航空54、鉄道9
・大阪 → 山形:航空51、鉄道20
・大阪 → 福島:航空61、鉄道97

 確かに4時間の壁は存在し、福島を境に航空機と鉄道のシェアが逆転していることがわかる。ただし福島までなら鉄道が優位であり、飛行機より少ないとはいえ東北各県への鉄道利用者も一定数いる。関西以西の在住者は、

「e5489が東北まで対応していれば」

とため息をついていたに違いない。それが今回の連携である程度解消されることになった。しかし、使い勝手は依然として少々煩雑である。

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