自動車ディーラーの営業マンが、昭和・平成ほど「自宅に来なくなった」根本理由
ウェブ購入の浸透

営業スタイルが大きく変化した最大の要因は、インターネットの普及による顧客行動の変化である。EY Mobility Consumer Index(MCI)が世界20か国、合計1万4500人の消費者を対象に実施したアンケートによると、車の購入検討時に「オンラインツール」を活用するユーザーが大多数を占めることがわかった。近年は顧客自身が情報を精査・比較することが当たり前となり、一方的な売り込み型営業は敬遠される時代であることが明確になった。これは、情報格差の縮小や市場競争の透明化にもつながり、ディーラー間の競争はより顧客中心に変化していることを示す。
加えて、ナイルが2022年5月に自家用車を持つ全国1445人を対象に行った調査では、ウェブで新車を購入することに抵抗がないと答えた比率は19.9%、実際にウェブで購入した人は23.7%だった。むしろウェブの方がよいと答えた人のうち、58.3%は対面営業がないことを理由に挙げている。これにより、営業担当者は押し売り型ではなく、顧客の事前情報に応じた専門的なアドバイスや丁寧な説明が求められるようになった。
また、オンライン購入の浸透は小規模ディーラーや新規参入ブランドにとっても機会を生んでいる。物理的な訪問に頼らずとも顧客に情報提供できることで、地域的制約や営業リソースの差をある程度カバーできるからだ。顧客が自ら情報を収集する習慣が定着したことで、商談時には複数の候補車種を比較済みのケースも増え、営業担当者には情報を整理し、要点をわかりやすく伝えるスキルが重要視されるようになった。
こうしたデジタル化の波は、店舗営業のあり方にも影響を与えている。パソコンやタブレット端末を活用する店舗が増え、顧客体験を向上させる仕組みとしてデジタルツールの活用が進むようになった。顧客は利便性の高い情報提供を受けながらも、専門性の高い提案や相談が可能な環境を求めており、オンラインと対面のバランスが営業の質を左右する重要な要素となっている。