数十億円荒稼ぎ? BYDの過剰在庫は「確信犯」か「超合理性」か――オーストラリア環境規制の抜け道? EV市場に波紋
BYDがオーストラリアで輸入したEVの在庫は約1万3000台。炭素クレジット換算で総額90億円超に達する。環境政策の「抜け道」を突いた戦略なのか、それとも市場拡大の合理的行動か。NVES制度の設計が、環境と経済のせめぎ合いを露わにしている。
NVES制度の概要

NVES制度の正式名称は「New Vehicle Efficiency Standard Act 2024」で、2025年7月1日に施行された。この制度では、自動車メーカーや車両供給会社は、新車をオーストラリア市場に投入する際、CO2排出量の規制義務を守らなければならない。
対象はセダンやスポーツタイプ多目的車(SUV)などの乗用車に加え、ピックアップトラックやバンなど、車両総重量4.5t未満の小型商用車の新車である。制度の目的は、オーストラリア全土の車両CO2総排出量を削減することにあり、排出規制は毎年段階的に厳格化される。これにより、燃費性能の高い車や低排出ガス車の供給が促進される。第一段階は2025年7月1日から12月31日までで、暫定排出量は2026年2月に発表される予定だ。
制度では、排出量が上限を超えると、炭素1g当たり最大100豪ドル(約1万円)の罰金が科される。一方、基準を下回ればクレジットが付与される。BYDが販売するEVは排出量ゼロで、1台当たり数千豪ドル分のクレジットを獲得できる有利な立場にある。
BYD以外にも、長城汽車やMGなどの中国勢がオーストラリア市場に参入している。2026年末までに14ブランドが新たに市場参入する見込みで、中国からの輸入台数は今後も増加すると予想される。