数十億円荒稼ぎ? BYDの過剰在庫は「確信犯」か「超合理性」か――オーストラリア環境規制の抜け道? EV市場に波紋
BYDがオーストラリアで輸入したEVの在庫は約1万3000台。炭素クレジット換算で総額90億円超に達する。環境政策の「抜け道」を突いた戦略なのか、それとも市場拡大の合理的行動か。NVES制度の設計が、環境と経済のせめぎ合いを露わにしている。
炭素クレジットの収益力

オーストラリアの乗用車新車販売台数は、2024年に約119万台だった。EVの普及率はおよそ8%で、テスラが約5割のシェアを占め、次いでBYDが2割程度を占める。
2025年1月から9月までにBYDがオーストラリアに輸入した台数は5万1000台とされる。これに対して販売台数は3万8000台(約75%)で、在庫は1万3000台余りとなる。BYDの月間販売ペースからすると、在庫水準は4か月を超える過剰在庫であることは明らかだ。
NVES制度に基づく炭素クレジットは、1台当たり最大7000豪ドル(約70万円)を獲得できる。仮にBYDの在庫台数すべてでクレジットを取得した場合、総額で
「90億円超」
に達する計算となる。NEVS制度について、オーストラリア連邦政府は2025年7月の施行段階で、販売時点での算定導入を「複雑すぎる」として見送った。しかしBYDの過剰輸入を受け、2026年の制度見直しでは販売時点での算定導入を改めて検討する方針だ。
報道に対しBYDは
「需要増に備えた在庫確保」(オーストラリア地元紙「オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー」)
と説明しているが、制度の「抜け道」を意図的に利用したとの見方もある。輸入による過剰在庫でも炭素クレジットを得られ、他社に転売すれば実質的な資金調達も可能になる。