「免許返納したら生活どうなるの?」 老親の運転に7割不安! しかし子ども世代は“見て見ぬふり”の実態だった
高齢ドライバーの事故は家庭と地域、制度に絡む複合課題だ。子世代の7割が親の運転に不安を抱える一方、6割は返納について話したことがない。移動手段不足が沈黙を生み、社会的安全コストを押し上げている現実に迫る。
誰もが避けて通れない「運転の終わり方」

高齢ドライバーによる交通事故は、運転の問題だけではない。それは「家族関係」「地域交通」「制度設計」という三層構造に絡む複合的な社会課題だ。40~50代の子世代は、親の運転に不安を抱えつつも、実際には行動に移せない状況が続いている。トータス(神奈川県大和市)の最新調査(10月29日発表)では、親の運転に不安を感じる子世代は7割を超える一方で、免許返納について話したことがない人が6割に達している。多くの家庭で、危険を認識しながらも口をつぐむ構図が形成されているのだ。
この沈黙は感情論だけで説明できるものではない。地方では交通手段が限られ、免許返納後の生活設計が描きにくいことが背景にある。
「免許を返す = 日常生活が困難になる」
という心理的イメージが根深く、返納は“自己犠牲”に近い選択になってしまう。この状況こそ、問題の核心である。
さらに、親の運転継続が社会的な安全コストの増加にもつながる点も見逃せない。家族の内部で認識されている危険と、社会的なリスクの間に乖離が生まれ、制度的支援が追いついていない現状が浮き彫りになる。