「EVだけでは勝てない理由」とは? 日本車は再び世界を席巻できる? 持続可能なモビリティ社会を考える【連載】Make Japanese Cars Great Again(6)

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日本車は国内外でHVを中心に400万台超を販売し確固たる存在感を示す一方、EVやFCV、液体燃料など多様な技術選択が国家の総合力と連携によって求められる転換期を迎えている。

国家総合力が問われるエコカー戦略とカーボンニュートラル

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 日本車はかつて「高品質」と「革新性」の象徴として、世界中で広く愛されていた。しかし、モビリティ環境が大きく変化するなかで、新たな課題に直面している。この連載「Make Japanese Cars Great Again」では、日本車がもう一度世界市場で輝くための具体的なステップを探る。過去の成功を振り返りながら、現在の課題にどう対応し、未来にどう進むかを考える。

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 今回は、エコカー戦略やカーボンニュートラル全般についてみていきたい。持続可能なモビリティ社会の実現に向けて、日本の自動車産業はこれまで、厳しい環境規制に挑みながら技術力を磨いてきた。1970年代の米国マスキー法に迅速に対応したホンダCVCCエンジンや、世界最厳ともいわれた排ガス規制をクリアしたトヨタの三元触媒システムなど、日本メーカーは知恵と工夫、そして挑戦心で困難を乗り越えてきた歴史がある。

 しかし、これからのエコカー戦略やカーボンニュートラルは、自動車メーカーだけで完結するものではない。電気自動車(EV)の普及には充電インフラが不可欠であるように、関連する技術開発や法整備、政策支援など、産業全体と国家の総合力が問われる局面だ。ハイブリッド車(HV)、燃料電池車(FCV)、液体燃料といった各技術は、それぞれの強みと課題を持ち、日本の総合力で支えなければならない。

 特に重要なのは、政府、自治体、民間企業が連携し、充電・水素・次世代燃料の整備や普及施策を一体的に進めることだ。政策面では補助金や規制の見直し、標準化などが必要であり、技術面では安全性・利便性の向上が欠かせない。こうした国家としての取り組みが、日本車の国際競争力を保ちつつ、世界市場での存在感を再び高める礎となる。

 日本の自動車産業は、これまで培ってきた技術力と経験をベースに、国家レベルでの総合力と連携をさらに強化することで、エコカー戦略とカーボンニュートラルの実現に向けた道筋を描くことができる。

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