「EVだけでは勝てない理由」とは? 日本車は再び世界を席巻できる? 持続可能なモビリティ社会を考える【連載】Make Japanese Cars Great Again(6)
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日本車は国内外でHVを中心に400万台超を販売し確固たる存在感を示す一方、EVやFCV、液体燃料など多様な技術選択が国家の総合力と連携によって求められる転換期を迎えている。
選択肢多様性の重要性

EVは販売台数が急速に伸びているものの、自動車分野におけるカーボンニュートラルのひとつの手段に過ぎない。EVの需要は、国や地域の発電能力、充電インフラの整備状況によって大きく左右される。また、銅やリチウムなどの原材料価格の変動リスクも存在する。2024年の世界自動車販売台数9531万台のうち、EVとPHVは1750万台にとどまっており、すべてがEV・PHVに置き換わることは現実的ではない。
さらに、車両は乗用車だけでなく、トラックやバス、商用車、工事車両といった特殊車両も含まれる。EV一辺倒ではなく、用途や地域に応じた技術選択が求められる。現状では、EVとHVを軸に、多様な技術を組み合わせることでカーボンニュートラルを実現することが現実的な道だ。
EVとHV以外の技術は、まだ研究開発段階にあり、普及の見通しは不透明だ。これに対応するため、国家としての総合力がこれまで以上に求められる。幸い、日本では産官学の連携により、さまざまな技術課題への取り組みが進んでいる。大国ではない島国でありながら、多様な選択肢を模索し、実践していることは大きな強みといえる。
このような技術的多様性は、日本車が世界市場で再び競争力を取り戻すうえで不可欠だ。将来の持続可能なモビリティ社会の実現には、技術だけでなく、人材の確保と育成がますます重要になる。