「既存交通で十分」自動運転、路線バスの“2~3倍”コスト、地方の足は本当に守れるのか?

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日本の地方交通は、路線バス廃止2万3193km、鉄道赤字83%と持続性が揺らぐ。高齢化で免許返納が進む中、永平寺町や境町、上士幌町で進む自動運転実証は、地域の生活インフラを支える切り札として注目される。

採算性と利用形態のギャップ

自動運転の未来像イメージ、生成AIで作成。
自動運転の未来像イメージ、生成AIで作成。

 自動運転は地方の移動手段として期待されるが、現状ではデマンドタクシーやコミュニティーバスに比べ、コストや柔軟性で劣る。永平寺町でも

「便利さなら既存の交通で十分」

との声があった。課題は技術よりも事業化の持続性にある。

 第一の課題は採算性である。ドライバーをひとり削減しても、システム導入や維持費は回収できない。利用者が分散する地方では、乗車効率も低くなる。

 第二に、利用者が望む移動の形と、自動運転バスの提供形態の間にはギャップがある。高齢者が求めるのは玄関から病院までのドア・ツー・ドアであるが、現状では拠点間移動が中心となる。

 現実的には、自動運転が担うのはバスの代替ではなく、役所や病院、スーパーといった

「拠点間の骨格交通」

である。自宅から拠点までは

・タクシー
・福祉輸送

と分担することで、ルートは単純化でき、利用者も集約できる。

 境町や上士幌町もこの方向性を模索している。国交省の「モビリティDX戦略」でも、デマンド型輸送と自動運転の融合が重点課題に掲げられている。課題は「技術不足」から

「制度と事業モデル設計」

へと移りつつある。

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