「既存交通で十分」自動運転、路線バスの“2~3倍”コスト、地方の足は本当に守れるのか?

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日本の地方交通は、路線バス廃止2万3193km、鉄道赤字83%と持続性が揺らぐ。高齢化で免許返納が進む中、永平寺町や境町、上士幌町で進む自動運転実証は、地域の生活インフラを支える切り札として注目される。

雪国特有の技術挑戦

 永平寺町で浮き彫りになった速度や範囲、利便性の不足を受け、各地で生活に近い自動運転の実証が進む。

 茨城県境町では、片道約4kmの区間を自動運転バスが定時運行し、コミュニティー交通に組み込まれた。乗車定員は11人(オペレーター含む)、最高速度は20kmで運行され、住民の買い物や通院の足として定着しつつある。運行にはフランス製の「NAVYA ARMA」などが使用されるが、遠隔監視や運行管理はソフトバンク子会社BOLDLYが担当し、車両導入やメンテナンスはマクニカと連携するなど、日本企業の運用ノウハウが中心となっている。

 北海道上士幌町では約3kmの区間で、自動運転バスを冬期も含めて継続運行している。積雪で車線が見えなくなる環境に対応するため、路車協調通信(V2X)や赤外線カメラ、路側センサーと車載センサーを組み合わせた自己位置推定技術を改良し、雪道対応を進めている。雪国特有の課題に挑むこうした取り組みは、世界的にも珍しい。

 ただし課題は残る。デジタル庁の資料によれば、自動運転バスの導入費用は1台あたり約5500万~8000万円で、初期費用として1000~2000万円が必要となる。

「通常の路線バスの2~3倍」

にあたり、自治体単独での導入は難しい水準だ。走行技術は確立されつつあるものの、普及を左右するのはコストと制度であり、日本の自動運転は依然として準備段階にある。

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