「既存交通で十分」自動運転、路線バスの“2~3倍”コスト、地方の足は本当に守れるのか?

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日本の地方交通は、路線バス廃止2万3193km、鉄道赤字83%と持続性が揺らぐ。高齢化で免許返納が進む中、永平寺町や境町、上士幌町で進む自動運転実証は、地域の生活インフラを支える切り札として注目される。

制度突破と規制の前例作り

境町自動運転車両(画像:境町)
境町自動運転車両(画像:境町)

 2023年、永平寺町で日本初のレベル4自動運転が公道で実現した。制度上レベル4を認める国は世界でも限られており、当時の岸田首相も現地で試乗して国内外に自動運転の幕開けを示した。国を挙げた取り組みとして大きく注目された。

 最大の成果は、国と自治体が協力し、道路交通法や道路運送車両法など複数の規制を突破した点にある。制度上の前例が生まれたことは、後続自治体にとって大きな基盤となった。

 ただし、実際に走行したのは最高時速12kmのゴルフカート型車両で、範囲も観光地周辺の約2kmに限定されていた。車両にはカメラや超音波センサー、ミリ波レーダー、RFIDタグが搭載され、道路には電磁誘導線が埋設されていた。限定された環境で安全に走行できることは示されたが、速度や走行範囲には限界があり、地域交通の実用には課題が残った。

 永平寺町の実証は、地域の足としての実用化を目標にしたわけではない。

・制度突破
・実用上の限界確認

に意義があった。次のステップは、この限界をどう超え、生活に近い交通に進化させるかにある。

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