「既存交通で十分」自動運転、路線バスの“2~3倍”コスト、地方の足は本当に守れるのか?
日本の地方交通は、路線バス廃止2万3193km、鉄道赤字83%と持続性が揺らぐ。高齢化で免許返納が進む中、永平寺町や境町、上士幌町で進む自動運転実証は、地域の生活インフラを支える切り札として注目される。
担い手不足が深刻化する現場
高齢化にともない免許返納が進む。しかし受け皿となる交通インフラは整っていない。国土交通省の調査によれば、地方では2008(平成20)年度から2023年度までに路線バスは約2万3193km、鉄道軌道は約632.9kmが廃止された。さらに2023年度時点で、路線バス事業者の73.7%、地域鉄道事業者の83.3%が赤字で、地方交通の持続可能性は揺らいでいる。
現場の状況はさらに厳しい。本数が少ない鉄道やバスは日常利用に不便である。コミュニティーバスやデマンド型タクシーもドライバーが高齢者で、担い手不足は深刻だ。
地方の高齢者は農作業や地域活動で元気に体を動かす人が多く、運転に自信を持つ人も少なくない。しかし持病や加齢で突然運転できなくなるリスクは常にある。免許返納後すぐに通院や買い物が困難になるケースもある。
それでも地元を離れたくない人は多い。慣れ親しんだ生活基盤を維持するには移動手段の確保が不可欠だ。こうした背景から、自動運転は地方における生活の足を守る切り札として期待されている。