「EV戦争の敗北」は避けられるか――日本バッテリー産業の“最後の砦”、3万人育成計画が握る国家競争力の行方とは
EV時代に向け、BATONが全国規模で次世代バッテリー人材育成を本格化。2030年までに3万人確保、国内製造能力150GWh達成を視野に、産官学連携で教育と実務を結ぶ新たな挑戦が始まった。
次世代バッテリー人材育成

電池サプライチェーン協議会(BASC)は「CEATEC 2025」に出展し、初日となる2025年10月14日に、バッテリー先進人材普及ネットワーク(BATON)の設立を発表した。
BATONは、EV時代を見据えた次世代バッテリー人材の育成と確保を目的とする産官学連携組織であり、国の特定重要物資と位置付けられるバッテリー産業の競争力強化を狙う。約3万人の人材育成を目標に掲げ、従来は関西エリアの高校・高専を対象に活動していたが、今回は全国に対象を広げ、大学も含めることで、教育から実務への橋渡しを強化する方針である。
BATONの活動は、2030年までに国内電池製造能力150GWhの達成を目標に展開される。日本では、モーターやインバーター、ボディ技術に比べ、EV関連のバッテリー人材育成が国際的に遅れており、BATONには若手や中堅技術者の育成を通じた競争力回復への期待がかかる。また、
・米国のEV補助金廃止
・中国のレアアース規制強化
など、国際的な逆風の下でも、日本が安定してバッテリー人材を確保できる体制構築が急務である。BATONは教育機関と企業の橋渡し役として、技術の継承、若手人材の育成、地域差の是正といった課題に取り組む中心的な存在になることが期待される。