「EV戦争の敗北」は避けられるか――日本バッテリー産業の“最後の砦”、3万人育成計画が握る国家競争力の行方とは
EV時代に向け、BATONが全国規模で次世代バッテリー人材育成を本格化。2030年までに3万人確保、国内製造能力150GWh達成を視野に、産官学連携で教育と実務を結ぶ新たな挑戦が始まった。
米中の制度比較

電池人材の育成は海外ではどのように進んでいるのか――。
中国では国家が主導し、大学と企業の連携を促進することで、短期間で必要な人材を確保している。国家研究機関である中国科学院で専門教育を受けた若手は、教育と研究の成果を民間企業にスムーズに還元できる仕組みが整っている。こうした体制により、産業界は即戦力となる若手技術者を安定的に獲得でき、研究開発と生産の両面で効率的な人材活用が可能となっている。
一方、米国は民間主導で大学とのネットワークを柔軟に構築し、人材の供給安定を図っている。大学や研究機関の知見と企業の実務ニーズをつなぐインターンや共同研究が幅広く展開されており、若手の経験とスキルが早期に企業活動に反映される。ただし、二大政党制による政策の変動があり、EV補助金の廃止など政策変更の影響を受けやすい点は、長期的な人材育成計画に不確実性をもたらしている。2030年におけるEV比率は17%にとどまると見込まれており、政策面での揺れは企業の投資判断にも影響を与える。
日本の場合、産官学連携の重要性は認識されているものの、電池分野での協調は十分とはいえない。電池研究室や専門人材は大学・研究機関で限られており、少子高齢化による人材不足も影響して、共同研究や委託研究の受け入れが難しい状況だ。若手学生側も質の高い研究や実践的経験にアクセスしにくく、教育制度や雇用の出口、地域格差が人材育成のボトルネックになっている。
BATONでは、高専や中堅大学との連携強化が成功のカギとなる。これにより、国内の制度的弱点を補い、次世代電池人材の育成基盤を構築できることが期待される。海外事例と比較すると、日本は柔軟性と実践性の両立が課題であり、政策支援と産業界との密接な連携が不可欠である。