「EV戦争の敗北」は避けられるか――日本バッテリー産業の“最後の砦”、3万人育成計画が握る国家競争力の行方とは
EV時代に向け、BATONが全国規模で次世代バッテリー人材育成を本格化。2030年までに3万人確保、国内製造能力150GWh達成を視野に、産官学連携で教育と実務を結ぶ新たな挑戦が始まった。
関西発の育成モデル
EV時代を見据え、経済産業省は蓄電池産業戦略で2030年までに製造能力150GWhの達成を目標に掲げる。少子高齢化が進む中、どの産業でも人材不足は深刻化しており、電池産業も例外ではない。大手企業を中心に博士レベルの人材は確保されているが、パイオニア的存在が多く、
「知識の伝承が円滑に行えるか」
は懸念材料である。若手や中堅の人材が不足しているため、技術やノウハウの継承にリスクが伴う状況である。
こうした課題に対応するため、2022年8月には「関西蓄電池人材育成等コンソーシアム」が設立された。バッテリー分野として初の産学連携教育プログラムのモデルケースであり、関西の高校・高専を中心に教育実施校は30校に拡大、累計受講者は約1500人に達している。関西は有力なバッテリー事業者が多く、人材が豊富な地域であったことも奏功した。
BATON設立は、こうした地域モデルを全国に展開する取り組みと位置付けられる。海外勢、特に中国のリチウムイオンバッテリー価格の低下に対抗するには、人材育成だけでなく、国内で働く環境やキャリアパスの整備も不可欠であり、教育・産業界双方の連携が強く求められる。BATONは関西モデルの経験を活かし、全国規模で次世代バッテリー人材育成の基盤を構築することが期待される。