高市政権で揺れる「自動車産業」 業界関係者は「イデオロギー外交」に懸念――米中リスク&サプライチェーン強靭化が焦点か
高市政権の発足で日本の対外政策は大きく変わり、自動車業界は米中二大市場との関係維持とサプライチェーン強靭化を迫られる。EVや半導体など基幹部品調達の多元化が、今後の成長を左右する最重要課題となる。
地政学的観点からのサプライチェーン強靭化の要請

米中二大国との関係で不確実性が増すなか、日本の自動車業界は地政学的観点からサプライチェーンの強靭化を急務とされている。
従来のサプライチェーンは効率性とコスト削減を優先した一本化された構造だった。しかし米中対立や政権交代による外交リスクの高まりは、この効率優先の構造の脆弱性を浮き彫りにした。特定国への依存が過度に高いサプライチェーンは、政治的・地政学的対立が深まると瞬時に寸断される危険性を抱えている。
高市政権下で求められるのは、
「米国や中国のいずれかに過度に依存せず、また不当な損害を与えない生産・販売ネットワークの構築」
である。具体的には、部品調達や完成車生産の拠点をASEAN諸国やメキシコなど第三国に分散させ、柔軟性の高い「フレキシブル・チェーン」を整備する必要がある。
さらに、EVに不可欠なバッテリーや半導体などの基幹部品については、国内生産の強化や信頼できる同盟国との協力による調達先の多元化を急ぐ必要がある。これは、経済合理性よりも技術安全保障を優先する投資判断となる。加えて中国市場では、現地規制や需要に合わせた「イン・チャイナ・フォー・チャイナ」のサプライチェーンを徹底し、
「政治摩擦の影響を受けにくい現地完結型の生産体制」
を構築することが重要である。