宿泊費高騰を乗り越える! 「夜行フェリー」相部屋なら7000円? 万博特需を超えて“動くビジネスホテル”定着なるか
ワーケーションの航路活用

最近では到着地で下船せず、折り返して戻るプランも増えている。神戸~高松間を運航するジャンボフェリー「あおい」号は、ワーケーション利用も想定したプランを提供している。ワーケーションとは、仕事をしながら旅行や滞在を楽しむ新しい働き方のことで、船内でパソコンを使って作業しつつ移動時間を有効活用できる。
料金はロフト個室のひとり利用で平日5000円程度だ。現在、ビジネスホテルで平日に1万円未満で宿泊するのは難しいため、船を利用すれば安価に一晩過ごせる。さらにオーシャンビューの展望風呂や足湯、地元食材を使ったうどんなどの食事も楽しめる。船内ショップではお土産も販売されており、旅行気分を味わえる趣向になっている。
現在は大阪・関西万博による特需とされているが、今後も需要を獲得する可能性はある。万博を契機にメディアの注目も集まり、利便性のよさを知る人が増えた。観光やレジャーの価格高騰は今後も続くと予想され、コストパフォーマンスの高い夜間運行の交通機関には追い風が吹く。
また、急増するインバウンドはリピーターや長期滞在者が増えており、食事や体験に予算をかける傾向がある。そのため交通費を節約する手段として、高速バスの利用が増えている。プロモーション次第で、このニーズをフェリー利用に取り込む余地もある。
さらに最近は人気YouTuberの体験動画が配信され、プロモーション効果を高めている。若い世代は動画を通じて、施設環境が整っており、価格も手軽であることを知る。これまで高速バスを利用していた若者も、フェリーを試してみようと考えるきっかけになるかもしれない。利用促進に繋がる可能性がある。ただし、
「寄港先」
は依然として限られている。特に広域高速交通網が発達している大都市間では、航路は淘汰されている。フェリーは本土と四国、九州を結ぶために発達した経緯があり、現在は関西圏の航路が多い。加えて、CO2削減の観点から貨物輸送でのフェリー利用が重要になり、働き方改革の影響でトラックドライバーの利用も増えている。しかし観光客など一般客の利用が拡大すれば、
「寄港先への誘客」
という新たな役割も果たすことになるだろう。