宿泊費高騰を乗り越える! 「夜行フェリー」相部屋なら7000円? 万博特需を超えて“動くビジネスホテル”定着なるか
船旅復権の兆し

日本では1970年代、旅客フェリーが
「家族旅行のひとつの選択肢」
として利用されていた。当時、日本高速フェリーの「さんふらわあ」号はテレビCMでも流れており、子どものころに船体の大きな赤い太陽のようなイラストを記憶するシニア層も多いだろう。当時は道路や鉄道の広域高速交通網が十分に整備されておらず、特に本州と四国を結ぶフェリーは重要な移動手段だった。そのため、国内旅行においてフェリーは現在より身近な存在だった。
しかし1970年代後半以降、オイルショックによる燃料価格高騰が打撃となった。さらに1980年代には新幹線の延伸や本州四国連絡橋の整備が進み、利用価値を失う航路も増えた。観光やレジャーでは自家用車による自由な移動が増え、
・鉄道会社のプロモーション
・バス会社のツアープラン
も人気を集め、旅行者の受け皿となった。船旅は次第にレジャーの選択肢から遠ざかっていった。
それでも船内の設備を見ると、想像以上に充実していることがわかる。ゲームコーナーや艦長コスプレでの写真撮影、プロジェクションマッピングのデモなども用意される船がある。宿泊設備も整っており、フラットベッドはもちろん、個室にはビジネスホテル並みのアメニティが備えられている。温浴施設やレストラン、ショップも完備され、船酔いしやすい人でなければ快適に一晩過ごせる。
船旅は「非日常的な体験」を提供する。デッキに出れば広がる大海原を眺め、潮風を全身で感じられる。晴天なら早朝の光に輝く海を眺めることもできる。出港の際、桟橋からゆっくり離れていく船の様子は、旅の始まりの高揚感を演出する。自動車やバス、列車とは異なるダイナミックな風景を堪能できるのが魅力だ。交通費と宿泊費込みで1万円程度で体験できるなら、費用対効果も高い旅といえるだろう。