「モペット」はなぜネットで蛇蝎のごとく嫌われるのか? 無免許・ノーヘル657件が暴く自転車風バイクの制度ギャップ
2025年1~8月、東京都内でモペットの違反件数は657件に達した。自転車風の外観で無免許運転が横行するこの小型EVは、制度の空白と市場の安価流通が招いた社会的リスクとして、都市交通政策の課題を浮き彫りにしている。
二重規制の危機

モペットの最大の特徴は、自転車のようにペダルを備えながら、スロットルを操作すればモーターだけで走れる点にある。しかし道路交通法では
「原付バイク」
に分類される。
・免許やナンバープレート
・自賠責保険
・ヘルメットの装着
が必須だ。見た目は自転車だが法的にはバイクという“二重構造”が、混乱の原因になっている。
市民の約大半がモペットを自転車と誤認してきた。販売者も意図的に「電動アシスト」と表示し、購入者に誤解を与えてきた。その結果、無知による違反が大量に発生した。歩行者や自転車利用者からは危険な存在と見なされる。これは利用者のマナーの問題ではなく、制度や表示の不備による構造的リスクである。
モペットは中国を中心に大量生産され、1台5万~10万円でネット通販でも購入できる。原付スクーターの新車(15万~20万円)より安く、ペダル付きで自転車の外観を持つため、未成年や免許取り消し者が手を出すケースも少なくない。
2024年には大阪府内でモペット関連の事故が23件発生した。2025年5月には東京で大学生が無免許で運転し、歩行者に重傷を負わせた事件で懲役3年の実刑判決を受けている。モペットは安価で手に入るため、
「交通弱者に危険を及ぼすリスク商品」
となっており、社会的なコストを増大させている。これがネット上で嫌悪される最大の理由である。