絶対王者のホンダに暗雲? ベトナムの「バイク規制」「市場飽和」がもたらす行く末とは

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飽和状態に近づくベトナムのバイク市場。現在、自動車メーカーや安価な電動バイク製造メーカーが急速にシェアを拡大している。

ベトナムはバイク社会

ベトナムではバイクが主要な移動手段(画像:unsplash)
ベトナムではバイクが主要な移動手段(画像:unsplash)

 ベトナムは、東南アジアの中でも有数のバイク大国だ。ベトナムに初めて来る人の多くが、バイクの交通量の多さに圧倒される。米シンクタンクPew Research Center調べによると、ベトナムはバイクの世帯当たりの保有率が世界第2位で、国内の86%の世帯がバイクを保有している(世界1位はタイ)。

 そもそもベトナムがバイク社会となったのには、同国の未熟な交通インフラが背景にある。ベトナムで移動手段と言えばバイクだ。ベトナムの経済発展に伴い、インフラ整備が進められてはいるが、まだまだ先進国に比べると遠く及ばない。

 ベトナム初の都市鉄道がハノイ市で開業したのは、2021年11月と最近だ。中国政府の支援により2011年に建設が開始され、10年かかって完成した。しかしベトナム初の都市鉄道は、

・全長13km(12駅)

のみで、

・乗車率6.3%

と市民の足となるにはほど遠い。駅には二輪車を停められる駐輪場がないなど、利便性も悪い。

ベトナム二輪車市場を支配するホンダ

ベトナム初の都市鉄道に乗り込む乗客(画像:JETRO)
ベトナム初の都市鉄道に乗り込む乗客(画像:JETRO)

 ホーチミン市にも、日本の円借款(経済援助のために、日本政府が政府間の合意に基づいて行う円建ての低金利融資)で全長19.7kmの都市鉄道が建設されているが、コロナ禍で工事に遅れが出ており、2023年末の開業を予定している。

 大都市であれば鉄道でどこへでもアクセスできる環境の日本とは違い、鉄道やバスなどの公共交通が存在するのは限定的なエリアのみで、ベトナムの主要な移動手段はいまだにバイクが一般的だ。

 ベトナムのバイクの登録台数を見ても、人口9700万人に対して登録台数は5000万台を超えており、国民の3人にふたりはバイクを所有している。バイクが人々の重要な移動手段となっていることもわかる。

 そして、ベトナムにおいては

「バイク=日本ブランド」

と言っても過言ではない。

 2021年のベトナムバイク市場のシェア率は、

・ホンダ:79.3%
・ヤマハ:18.9%
・スズキ:0.4%

と98.6%を日本のブランドが占めている。その中でもほぼ8割を占めるホンダは、ベトナムの二輪車市場を支配していると言ってもいいだろう。