高速鉄道からEVまで! 日印「10兆円投資」で挑む14億人市場の交通革命
2025年の「日印経済フォーラム」で、日本とインドは10兆円規模の投資を含む170件の覚書を締結した。高速鉄道やEV、デジタル技術を軸に、両国はモビリティ分野で持続可能かつ災害耐性の高い交通システム構築に挑む。
日印10兆円投資で描く次世代戦略

2025年8月下旬、東京で「日印経済フォーラム」が開かれた。石破茂首相、武藤容治経済産業大臣、インドのナレンドラ・モディ首相が出席した。交通インフラや自動車、EVなどモビリティ関連分野を含む民間企業による170件の覚書が発表された。今後10年間で10兆円規模の対印投資を進める方針でも合意した。
日本とインドは今後10年間の二国間関係を見据えた包括的な戦略ビジョンを採択した。経済連携、経済安全保障、環境、技術革新、保健、人的交流、地方自治体の連携の8分野を優先課題に位置づけた。モビリティもその柱のひとつである。
注目されるのは次世代モビリティ・パートナーシップ(NGMP)だ。インフラ、物流、モビリティ分野での協力を進める枠組みである。持続可能でスマートかつ災害に強い交通システムを目指す。高速鉄道や電動モビリティでも協定や覚書が交わされた。
さらに、モビリティ分野の発展にはデジタル技術と人材が不可欠だ。「日印デジタル・パートナーシップ2.0」や技術協力、人材交流の協定も締結された。
インドは14億人という世界最大の人口を抱え、人材が豊富で成長著しい巨大市場だ。日本は高度な技術、製造ノウハウ、資本を蓄積しており、両国は強みを組み合わせて補完関係を築く。
両国は環境と持続可能性という共通の課題意識を持つ。モビリティ分野ではサステナビリティ、脱炭素化、災害耐性が重点課題となる。
インドにとってはインフラ近代化と製造業強化、日本にとっては産業拡大の好機であり、アジア地域での存在感を高める戦略を描く。
デジタルインフラ、AI、ビッグデータ、半導体、代替燃料はモビリティを大きく変革する。日印両国は協力し、国際的に主導的な役割を果たすことを目指す。