高速鉄道からEVまで! 日印「10兆円投資」で挑む14億人市場の交通革命

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2025年の「日印経済フォーラム」で、日本とインドは10兆円規模の投資を含む170件の覚書を締結した。高速鉄道やEV、デジタル技術を軸に、両国はモビリティ分野で持続可能かつ災害耐性の高い交通システム構築に挑む。

日本技術で支えるインド都市開発

インド(画像:Pexels)
インド(画像:Pexels)

 インドと日本のモビリティ協力は多岐にわたる。高速鉄道システムでは、「メイク・イン・インディア」の方針に沿って車両製造を進める。信号や運行管理、耐震技術、AIによる保守、鉄道分野でのエネルギー転換も協力対象である。

 地下鉄や大量高速輸送システムでは、デリーメトロが日本方式を採用している。地下鉄と地上・高架鉄道を組み合わせたシステムにより、自動車増加による交通渋滞や大気汚染の緩和に貢献している。

 駅周辺開発やエンドツーエンド接続、MaaSプラットフォーム、自動交通システムを活用し、交通結節点を中心とした公共交通指向型の統合開発を進める。

 交通渋滞、大気汚染、災害リスクに対応する都市モデリングを活用し、スマートシティや都市の脱炭素化も推進する。

 自動車、航空機、船舶などモビリティ産業の製造強化や、環境に優しい燃料の推進、インフラ整備も重要な協力分野である。

 さらに、日本のコールドチェーン物流のノウハウを活かし、インドでも医薬品や生鮮食品、化学薬品など低温で保存が必要な物資の輸送を強化する。寿司など生魚の輸送に長年培われた日本の技術は、急速に成長するインド市場に応用可能である。

 都市計画ツールを用いて3D都市モデルや災害シミュレーション、避難計画策定も行う。日本は地震列島であり、津波や原発事故などの災害経験を通じ、世界でも最高水準の知見を有している。

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