“怒り顔”自動車が男性ドライバーを挑発? 人気デザインの裏側に潜む「攻撃的運転リスク」と心理的影響

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身の回りの“顔っぽい”デザインは、脳が無意識に認識する現象だ。自動車でもフロントフェイスの“怒り顔”は人気だが、米研究では男性ドライバーに挑発行動を引き起こす可能性が指摘され、購入行動との乖離も浮き彫りになっている。

身近な“顔”の認知科学

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 電気のコンセントや壁のシミ、トーストの焦げ目、自動車のフロントフェイスなど、身の回りには“顔に見える”ものが多く存在する。これはわれわれの脳が、無意識のうちに“顔っぽい”ものを探しているためだ。最新の科学研究も、この現象を裏付けている。

 英サリー大学などの研究チームは2025年7月、「i-Perception」で研究成果を発表した。研究によれば、われわれは本当の人間の顔と“顔っぽい”ビジュアルを異なる認識で捉えている。脳はそれが人間の顔ではないと理解しつつ、わずかでも連想させる要素があれば“顔”として認識してしまうのだ。

 さらに研究では、本物の顔を見る場合と“顔っぽい”ビジュアルを見る場合で、注意の向け方に差があることが明らかになった。本物の顔では視線の動きに注目し、“顔っぽい”ビジュアルでは全体の形状に注意が向く。

 この現象は

「顔パレイドリア(face pareidolia)」

と呼ばれる。強力な認知バイアスとして、私たちの視覚認知に影響を与えていることがわかる。

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