テスラが挑む「路上の戦争」 ロボタクシーを守る“壊れないホイール”戦略の全貌とは
テスラのロボタクシーが採用した「破壊不可能ホイール」。1セット44万円と高価だが、年間11万kmを走る無人車に不可欠な稼働率確保と、暴動での全焼事件すら想定したブランド戦略が背景にある。
破壊不可能ホイールの秘密

「路上の戦士」──破壊不可能をうたうホイールが、テスラのロボタクシーの足元を飾る――。なぜテスラは、この一見古めかしい技術を採用したのか。その背景には、自動運転車特有の事情と、テスラの巧みなブランド戦略がある。
テスラ向けの高性能アフターマーケット製品を手がけるアンプラグドパフォーマンス社(Unplugged Performance:UP社)が、「世界初の破壊不可能ホイール」を発表した。「UPフォージド ロードウォリアー(UP-RW)」ホイールは、モデル3やモデルY向けに発売された。特筆すべきは、ロボタクシーという特殊用途を想定して設計されている点だ。
ロボタクシーは、テスラが提供する無人運転のタクシーサービスである。この車両に求められるのはただの強度ではない。UP-RWホイールの破壊不可能という言葉の裏には、
・耐久性
・修理の容易さ
・運動性能
・エネルギー効率
といった多岐にわたる要求を高次元で両立させた設計思想が隠されている。
UP-RWホイールの最も斬新な特徴は、その側面にある。無人運転で24時間稼働するロボタクシーは、縁石への接触や軽微な衝突が日常的に発生すると想定される。UP-RWホイールは、損傷が発生した際のコストを最小化することを重視して設計されている。