「黒字リストラ」は自動車業界にも波及する? パナソニックHD1万人削減、世代交代・人材戦略の分岐点とは
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日本の製造業で黒字決算下にも関わらず人員削減が相次ぐ。三菱電機やパナソニックは1万人規模の早期退職を実施し、高齢層の厚み是正に動く。自動車産業もCASE対応でスキル需要が急変するなか、次世代への人材移行が競争力を左右する分水嶺となる。
技術伝承と報酬柔軟化

自動車業界は黒字リストラに頼らず、人材構成を変革する方法を模索している。まず人材の横断的活用によって、削減を最小限に抑えることが可能だ。エンジン技術者をバッテリーや水素関連の分野に転用するスキル転換プログラムの導入が求められる。製品分野が異なっても、専門知識を生かせる領域は見出せる。
社外出向による再就職支援を高度化すれば、単なる転職支援にとどまらず、スタートアップやサプライヤーとの人材循環を促進できる。これにより、業界全体の人材活性化にもつながる。
知識資産の保存と活用も重要である。定年前後の技術者を教育担当とし、デジタル化した技術伝承プラットフォームで蓄積ノウハウを社内に残す仕組みが考えられる。
さらに柔軟性のある報酬体系も不可欠だ。役割やスキルに応じた変動型給与制度を導入すれば、年齢とコストが比例する硬直的構造を回避できる。