「黒字リストラ」は自動車業界にも波及する? パナソニックHD1万人削減、世代交代・人材戦略の分岐点とは

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日本の製造業で黒字決算下にも関わらず人員削減が相次ぐ。三菱電機やパナソニックは1万人規模の早期退職を実施し、高齢層の厚み是正に動く。自動車産業もCASE対応でスキル需要が急変するなか、次世代への人材移行が競争力を左右する分水嶺となる。

製造業の世代交代戦略

パナソニックホールディングスのロゴ(画像:パナソニックホールディングス)
パナソニックホールディングスのロゴ(画像:パナソニックホールディングス)

 従来のリストラは、業績悪化にともなう人員削減が一般的だった。しかし近年は、業績が好調でも年齢構成の歪みを是正する人事施策に変化しつつある。

 三菱電機では、2026年3月15日時点で満53歳以上かつ勤続3年以上の正社員と定年後再雇用者を対象に、早期退職の募集を行う。従業員約4万2000人のうち、正社員は約8000人、再雇用者は約2000人が条件に該当する。応募者には

・退職金の上乗せ
・再就職支援

を提供し、組織全体の年齢構成を若返らせる狙いだ。

 パナソニックでは、勤続5年以上の40~59歳社員と64歳以下の再雇用者を対象とし、最大で1万人規模が対象となる。退職金の上乗せ額は55歳前後が最も多く、数千万円に達するケースもある。

 両社に共通するのは、高齢層の厚みを是正し、次世代に交代させる構造改革的な性格を持つ点である。市場環境が急速に変化するなか、年齢構成の固定化は企業の競争力を削ぐ要因として顕在化している。

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