「黒字リストラ」は自動車業界にも波及する? パナソニックHD1万人削減、世代交代・人材戦略の分岐点とは
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日本の製造業で黒字決算下にも関わらず人員削減が相次ぐ。三菱電機やパナソニックは1万人規模の早期退職を実施し、高齢層の厚み是正に動く。自動車産業もCASE対応でスキル需要が急変するなか、次世代への人材移行が競争力を左右する分水嶺となる。
EV時代の人材再配置

自動車メーカーの平均年齢を見ると、
「ホンダ」
が45.6歳と突出している。社員全体に占める50代の比率は3割を超える。日産、三菱自動車、マツダは41歳前後、スズキ、トヨタ、スバルなどは40歳以下にとどまる。団塊ジュニア世代(45~54歳)が中心を占め、20~30代の比率は相対的に低いと考えられる。
自動車産業は百年に一度の変革期を迎えている。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)対応により、従業員に求められるスキルは急速に変化している。特にバッテリーやソフトウェア分野の人材需要は拡大しつつある。
一方、従来のエンジン関連技術者にとって
「再配置問題」
は深刻だ。電気自動車(EV)シフトが進めば、将来的に不要となる部門と急激に人材需要が高まる部門の乖離は広がる一方となる。
さらに国内市場は縮小傾向にある。新車販売台数は1990(平成2)年の777万台から約4割減少した。高齢社員の比率が増す構造的リスクが顕在化し、高齢社員を多数抱える企業では組織の持続性が問われる時代に突入している。