アメ車「品質低下」の一途? リコール急増の米フォード、信頼失墜で日本車が世界の模範となるか
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フォードのリコール件数は2025年に100件を突破し、過去最多を更新した。損失は直近3年で数千億円規模に膨らみ、株価は半値に低迷。日本車との差が鮮明となる中、米メーカーは品質文化をどう再設計できるのかが問われている。
開発体制のリスク露呈
米メーカーでリコールが頻発する背景には、開発体制の問題がある。
電動化への対応を急ぐあまり、複数のプラットフォームを併存させなければならないが、統合が遅れている。バッテリーやソフト開発の一部では、外部委託への依存度が高く、検証作業が分断されて一元化できていない面もある。車載システムの統合を設計段階で十分に考慮できず、不具合が見つからないまま販売されるケースもある。
さらに、サプライチェーンがグローバル規模で広がり、管理が複雑化している。各部品やシステムの検証工程に十分な時間が確保されていない課題もある。
一方、日本メーカーは現場主義を重視してきた。定められた標準に従った作業が忠実に実施され、不具合発生時には再発防止策が講じられるフィードバックループが確立している。このため、リコール件数は一定程度に抑えられる。長年蓄積された知見により、品質格差が長期的に生まれる土壌が形成されている。