アメ車「品質低下」の一途? リコール急増の米フォード、信頼失墜で日本車が世界の模範となるか

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フォードのリコール件数は2025年に100件を突破し、過去最多を更新した。損失は直近3年で数千億円規模に膨らみ、株価は半値に低迷。日本車との差が鮮明となる中、米メーカーは品質文化をどう再設計できるのかが問われている。

リコールが揺るがす利益

フォード・F-150プラチナム(画像:フォード)
フォード・F-150プラチナム(画像:フォード)

 リコール対応による損失は、修理費用だけではない。直接コストには、交換部品代や工賃に加え、部品輸送にかかる物流費も含まれる。数百万台規模のリコールでは、影響が数百億円に上ることもある。

 間接コストは主に販売やサービス部門の人件費だ。表面化しにくい影響には、ブランド価値の低下による販売減少やリセール価格の下落、保険料の上昇などがある。

 フォードの決算資料によれば、過去3年間のリコール関連費用は数千億円に達し、利益構造に恒常的な負担を与えている。2024年11月には、米国道路交通安全局(NHTSA)から、リコール要件を遵守しなかったとして1億6500万ドル(約243億円)の罰金が科され、フォードは支払いに応じた。

 リコール件数が増え続ける一方で、長年のベストセラー「Fシリーズ」や多目的スポーツ車(SUV)などの主力車種に支えられ、フォードの2024年の米国市場シェアはGM、トヨタに次ぐ3位だった。販売台数は約204万台で、前年から2.7%増加した。

 株価は品質問題が報じられるたびに下落し、投資家の信頼を損ねている。2022年1月に25ドルを上回ったのが過去10年間の最高値で、現在は11ドル前後に低迷している。

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