米国「475人拘束事件」で暴かれた外資ビザリスク! EV電池生産・外資投資の制度矛盾とは

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米国の人材不足とビザ制約が浮き彫りとなり、外資投資の持続可能性が問われる重大事件となった。

拘束の背景事情

ジョージア州エラベル(画像:OpenStreetMap)
ジョージア州エラベル(画像:OpenStreetMap)

 トランプ大統領は、米国の製造業強化と不法移民の取り締まりを優先政策として掲げている。今回の事件は、自国産業の保護と不法就労取締りの狭間で発生したものだ。

 しかし、一般的な政策問題だけではない。自動車業界は電動化へ急速に移行している。電気自動車(EV)用電池の設備設置や試運転、検証・評価には高度な専門技術が求められる。現地で十分な人材を確保するのは難しく、米国への知財流出も懸念される。そのため、韓国や日本、中国から技術者や作業員が派遣されていたとみられる。

 入国にはビザ制度の制約がある。多くはESTA(電子渡航認証システム)や短期ビジネスビザで渡米し、法律上認められない作業に従事していた可能性がある。CNNによると、ジョージア州エラベルは米国初のEVと電池の製造拠点として現代自動車に選ばれた。

 地域は雇用創出と経済発展への期待を寄せていた。しかしトランプ大統領が返り咲き、地域では注意を要する空気も広がりつつあった。工期面でのプレッシャーも強かった。

 総投資額43億ドル(約6350億円)のプロジェクトであり、稼働時期は需要や関税政策に直結する。納期の遅れは株価や国際的信用に影響を与えかねない。さらに、外資投資と地元雇用の摩擦も存在する。地元政治家が

「優遇税制を受けながら雇用を創出していない」

と通報したとの報道もあった。

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