率直に言う 自動車好きは「ナルシスト」である
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戦後日本の大衆心理を分析した北原惇氏は、自動車をナルシシズムを満たす商品と位置づけた。EVや自動運転の普及で、自己愛の象徴は利便性重視の社会資源へと変容する可能性がある。
商業主義の心理循環

商業主義が大衆心理を刺激する循環構造――。商業主義はナルシシズムを満たす商品を次々と提供し、大衆はそれに応答して消費行動を繰り返す。この構造において、自動車は典型例である。
高出力エンジンや先進的なデザイン、豪華な内装などは、大衆の貪欲な欲求に沿って商品化されてきた。産業は人々の欲求を読み取り、それを刺激する新商品を投入する。その結果、自己愛的な消費行動が再生産されるのである。北原氏の議論には、フランクフルト学派的な大衆批判と欧米流の大量消費社会批判の影響が色濃く見られる。
氏は自動車を移動手段としてではなく、自己愛を満たす象徴として分析した。交通インフラや耐久消費財としてのみ自動車を扱う考え方を超えている。特に操作性と自己中心的空間性に着目した点は、今日のモビリティ論にもつながる。
しかし、限界も存在する。ナルシシズムと自動車利用を単純に結びつける図式は単線的であり、都市構造や経済制度などの外的要因を十分に考慮していない。また「幼児化」という表現は規範的で、現代の社会科学の視点からすれば、多様なライフスタイルや新しい自己表現の一形態として解釈する余地もある。