伊豆諸島はなぜ「東京都」? 伊豆半島は静岡なのに…という根本疑問
伊豆諸島は東京から120~600kmに散在する火山列島で、定期船や航空路線により実質移動時間は大幅に短縮される。江戸時代から東京と経済的結びつきが強く、観光や物流、災害対応を支える東京中心の移動経済圏の一部として重要な役割を担っている。
観光とリスクで問われる諸島名

こうして伊豆諸島は東京都の管轄下に置かれることになった。現在も正式名称は伊豆諸島のままだが、一時期「東京諸島」に改称する機運が高まったことがある。
きっかけは2000(平成12)年、三宅島の噴火が活発化し、全島避難が行われたことである。伊豆諸島の島々は距離が離れているため、三宅島の被害が他の島に直接及ぶことは少ない。しかし海水浴の人気スポットである新島では観光客が激減した。
さらに観光客の減少は伊豆半島にも波及した。伊豆半島から伊豆諸島は遠く離れているにもかかわらず、地震や噴火が発生すれば伊豆全体が経済的損害を受けることが明らかになったのである。
2002年、伊豆諸島の町村で構成される東京都島嶼町村会は、名称変更に関するアンケートを実施した。
・東京諸島
・東京黒潮諸島
に改称する機運は高まったが、最終的に56%が反対し、名称変更は実現しなかった。
それでも観光振興団体の伊豆七島観光連盟は2004年4月、団体名を東京諸島観光連盟に変更した。東京都が毎年発行する伊豆・小笠原両諸島の現況報告書のタイトルも「東京諸島の概要」となっている。東京諸島には伊豆諸島だけでなく小笠原諸島も含まれ、範囲は非常に広い。
伊豆諸島は江戸時代から東京と密接に結びついてきたため、ある意味で「東京の原点」ともいえる。東京諸島という名称は定着していないものの、観光連盟や各種イベントでは目にする機会が増えている。読者にとって、東京諸島と伊豆諸島のどちらの呼称に愛着を感じるかは興味深い点である。