30年で半減! なぜガソリンスタンドは「セルフ化」しても廃業し続けるのか?
全国のガソリンスタンドは2024年度末に2万7009店とピーク時の半分以下に減少した。セルフ化や複合化、EV・水素インフラ導入が進む一方、地方では供給網の脆弱化が深刻化。地域経済や物流、雇用に波及するモビリティ再編の現実が浮き彫りとなった。
地域燃料網の再編戦略

政府は物価対策として石油元売りに補助金を支給し、小売マージンの改善につなげた。2024年度は廃止店舗が444店となり、前年度より約150店減少した。しかし補助金は恒久策ではなく、地域によって供給網は依然として弱体化している。
特に過疎地域では給油過疎地が拡大し、農業用機械や配送事業者に影響を及ぼしている。モビリティ経済の視点では、政策補助の一時的効果だけでは市場の地域間格差を解消できず、長期的には地域インフラの再編が不可避だ。
従来型の給油モデルに依存する限り、閉鎖は続く。複合サービス化は有効策だ。コンビニや整備工場、EV充電器、カーシェア拠点と併設することで、燃料依存から収益源を分散できる。都市部ではEVやHVの充電需要が増加しており、電力収入による補完的収益モデルも見込める。
共同経営や統合モデルも打開策となる。複数事業者が共同で燃料供給会社を設立すれば、スケールメリットを確保できる。配送効率化や仕入れ単価の低減につながる。地域ネットワークの統合は、モビリティ供給の安定性確保と資本効率向上の両立策になる。
次世代燃料や充電インフラへの対応も不可欠だ。水素ステーションや急速充電器の導入はコストが高いが、政府補助を活用すれば地域のエネルギー拠点として存続可能である。ガソリン販売から地域EV・水素ハブへの転換は、地方モビリティ経済の成長点となる。
さらにデジタル管理による効率化も効果的だ。在庫や配送をIoTで管理すれば配送コストを削減できる。すでに一部元売りでは少量配送の無駄を削減しており、データドリブンで配送・在庫を最適化すれば、地域規模に応じた供給効率を最大化できる。