“たった6.8km”が経済を動かす! 東海環状道「最後のピース」開通が物流・渋滞・産業構造を変える根本理由
中京圏の経済動脈が変わる――東海環状道の新たな6.8km区間が2025年8月開通へ。主要5高速を一本で結ぶ環状ネットワークが形成され、関市~大垣市間の所要時間は25分短縮。物流効率の飛躍的向上と地域経済の再構築に向け、ネットワーク最適化が加速する。
広がる中京圏の交通網

中京圏は東京圏・関西圏と並ぶ日本三大都市圏のひとつであり、その基幹インフラの一つが東海環状自動車道(東海環状道)である。名古屋市の中心部からおおむね30~40km圏を環状に結ぶ高速道路で、首都圏における東京外環自動車道(外環道)と同様の機能を担う。
しかし、2025年7月時点で全線は未開通。中京圏を一周する環状ネットワークの完成には至っていない。そうしたなか、2025年8月30日には岐阜県区間の本巣インターチェンジ(IC)~大野神戸IC間(約6.8km)が開通する予定となった。2025年4月にも山県IC~本巣IC間が開通しており、2025年で2度目の延伸となる。
今回の開通は一見すると短距離に見えるが、戦略的には極めて重要な意味を持つ。これにより、中京圏を放射状に走る以下の基幹高速道路が東海環状道によって一本で接続されることになる。
・東名高速道路(東名)
・新東名高速道路(新東名)
・中央自動車道(中央道)
・東海北陸自動車道(東海北陸道)
・名神高速道路(名神)
※東名と新東名は伊勢湾岸自動車道を介して接続
これらは名古屋市を中心に外縁部へ向かって放射状に伸びる主要路線群であり、それらを結ぶ環状線の整備は、移動利便性の向上にとどまらない。
・交通集中の緩和
・災害時の代替ルート確保
・物流の効率化
といった多面的な効果が見込まれる。こうした道路インフラ整備は、結果として広域経済圏の再構築にもつながる。私自身も複数の地域開通案件を取材してきたが、短距離の延伸であっても広域ネットワーク全体に与える影響は大きい。東海環状道の今回の延伸も、確実に中京圏の動脈機能を底上げする一手となるだろう。