4月に再募集 「ご当地ナンバー」は実際、地域振興に役立っているのか?

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国交省が地方版図柄入りナンバープレートの導入地域を新たに募集。町の名前を広めることに腐心している地方自治体関係者に光は差すか。

住民の反発を受けた「世田谷ナンバー」

東京「世田谷」の地方版図柄入りナンバープレート(画像:国土交通省)
東京「世田谷」の地方版図柄入りナンバープレート(画像:国土交通省)

 ご当地ナンバーで知名度の向上を目指す自治体がある一方、住民側から反対の声があがるケースもある。

 2014年に導入された世田谷ナンバーは、一部の区民から猛反対を受けた。その主な理由は、

「世田谷ナンバーは世田谷区だけに導入されるため、住所が特定されやすい」
「区民の意見を聞かず、区長が独断で進めた」

というものだった。

 世田谷区は、成城・等々力・奥沢といった高級住宅街を抱えている。世田谷ナンバーをつけた自家用車は住所を特定されやすくなり、車上荒らしや自宅に窃盗に入られるなどというリスクが高まる。そうした不安を抱く住民がいるのは無理もない話かもしれない。むしろ普段の生活に支障が出ないのだから、わざわざ世田谷ナンバーをつけようという動機は薄い。

 世田谷ナンバーをふくめ、東京23区内には通常の品川・練馬・足立、ご当地ナンバーの杉並・板橋・葛飾・江東など計八つのナンバープレートがある。これだけナンバーが増えると、東京23区のナンバーは飽和状態ではないかとも思えるが、実はまだ増える可能性がある。

 東京23区では、豊島区がご当地ナンバーの導入を目指していた。豊島区は自治体名である「豊島」ではなく、区の中心市街地でもある池袋ナンバーの導入を模索。以前に消滅可能性があると指摘されたことがある豊島区は、そこから魅力あるまちづくりにまい進した。その結果、消滅可能性は過去の話と一蹴されるほどになっている。

 池袋ナンバーの導入も、豊島区が魅力あるまちづくりをPRする取り組みと考えられるが、2025年に導入されるご当地ナンバーに豊島区が手をあげるのかどうかは現段階ではわからない。

 豊島区の判断はひとまずおくとして、これだけご当地ナンバーが増えてしまうと、ご当地ナンバーが内包する地域振興・経済活性化も効果が薄くなってくるのは事実だろう。逆に、ご当地ナンバーが増えることで事務作業の煩雑化や管理費用の増大といった問題点が浮上している。それだけに、ご当地ナンバーの意義も問われ始めている。

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