4月に再募集 「ご当地ナンバー」は実際、地域振興に役立っているのか?
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知名度の訴求が生むもの

自治体の知名度をアップさせることで、訴求できるのは政府(国)や都道府県、観光客だけではない。近年、都市部から移住を働きかける自治体は少なくないが、知名度が高ければ移住者へ働きかけでも有利になる。以前だったら、田舎暮らしを希望するのは仕事をリタイアした高齢者が多かった。
しかし、今は違う。地方への移住を希望する人たちの多くは30代前後のファミリーで、子育て真っ盛り。こうしたファミリーが移住してくれれば住民税などが期待できる。また、コロナ禍でリモートワークが進んでいることも地方移住を後押しする。
人口減少が急速に進む地方都市は少子化で小中学校の統廃合が相次いでいるが、ファミリー世帯を呼び込むことで小中学校の統廃合に歯止めをかけることができる。これは、地方にとって大きい。
大都市部に居住していると実感は湧きづらいが、過疎化の進む農山村では小中学校は単なる“学びや”ではない。あらゆる集会・イベント会場として使用されている。小中学校を維持することは地域の盛衰を食い止めるうえでも重要になる。
また、地方都市ではマイカー所有のライフスタイルが一般的だが、マイカー所有には税金が付き物だ。自動車関連の税金のうち、自動車税は地方税。また、2019年に廃止された自動車取得税も貴重な地方財源だった。廃止後の環境性能割も、地方自治体を支える財源になっている。
ご当地ナンバーを導入したからといって、それが即座に地域振興・経済活性化につながるわけではない。それは地方自治体側も十分に承知している。
今回、国土交通省が発表したご当地ナンバーの新導入は地方自治体からの募集を受け付け、2025年5月頃に誕生する予定だ。まだ新しいご当地ナンバーを創設すると発表したばかりなので、地方自治体側からの具体的な動きは見られないが、以前の経緯を見れば多くの自治体が手をあげると見られる。
近年になってご当地ナンバーの導入が相次いでいるとはいえ、今回のチャンスを逃せば次の募集がいつになるのかわからない。そのため、ご当地ナンバーが地域振興・経済活性化の一手段と考える地方自治体は取りあえず手をあげておこうと考えるからだ。