「制度に縛られる課長」「育成リソース不足の部長」 上司を“無能”呼ばわりしても全く意味がない理由【連載】上司ガチャという虚構(1)

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昇進や育成機会の不足を「無能な上司」と片付ける前に、構造的な制度の課題を見極める必要がある。正社員の61%が計画的OJTを受け、非正社員は27%。自己投資で成長する働き手の戦略に学ぶ、自律キャリアの新潮流。

上司評価と現実のギャップ

上司のイメージ(画像:写真AC)
上司のイメージ(画像:写真AC)

 最近、若い世代の間でよく聞く「上司ガチャ」という言葉。どんな上司に当たるかは運任せで、自分では選べない――そんなもどかしさを端的に表している。しかし、そもそも上司を変える力はほとんどの人にない。だから「当たり・ハズレ」にこだわっても意味はなく、不満を運のせいにしていては自分の成長の機会を逃してしまう。本連載「上司ガチャという虚構」では、上司を「良い・悪い」で単純に裁くのではなく、無駄な労力に振り回されず、自分の成長や適応力に目を向ける視点を探る。変化の激しい職場で、自分の市場価値をどう磨き、キャリアをどう守るか。そのヒントを丁寧にひも解いていく。

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 昇進が見送られたり、提案が採用されなかったり、育成の機会が得られなかったりする経験を「上司の能力不足」と捉える声は多い。しかし、その判断は早計かもしれない。組織内で起きる現象には、個人の能力を超えた構造的な背景がある場合も多い。

 最近の調査では、管理職や上司に対して「十分な育成支援がない」と感じる声が多数報告されている。EdWorks の2024年8月調査(課長・部長クラス304人対象)では、65%が

「部下育成に関して会社からの支援が足りない」

と回答した。2023年の調査でも、管理職の62%が育成に悩みを抱えている。特に部下数が増えるほど、その傾向は強まる。こうした環境では、部下への指導に必要な支援も不足し、上司評価と現実のギャップが大きくなる。

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