日本郵便と組んだUber、「貨客混載」事業がぶち当たる“大きすぎる壁”
ライドシェアの空き時間を活かし、郵便物を運ぶ──。Uberは日本郵便と連携し、石川県加賀市で貨客混載の実証実験を開始。28都道府県から47都道府県への展開を年内に進める。制度の壁を超え、旅客と貨物を一体で運ぶモデルは、公共交通と物流の再定義を迫る試金石となる。
配車と配送の融合戦略

2025年7月23日、日本経済新聞社が主催する「GDS2025世界デジタルサミット」で、Uberのアジア太平洋地域モビリティ事業代表ドム・テイラー氏がビデオ講演を行った。
このなかでテイラー氏は、Uber Japanを通じて年内にサービス提供エリアを現在の28都道府県から47都道府県へ拡大すると明言。全国展開に踏み切る方針を示した。詳細は日経新聞の記事に記載されている。
サービスの質向上にも取り組む。石川県加賀市では日本郵便と連携し、ひとりのドライバーが旅客と荷物の両方を運ぶ貨客混載の実証実験を実施した。旅客需要が少ない時間帯に荷物を運ぶことで、車両の稼働効率を高めている。
テイラー氏は講演で、日本の地方都市ではバス事業者の多くが赤字に苦しみ、減便や路線廃止が相次いでいる現状を指摘。タクシー業界も高齢化と新規参入の減少に直面し、地方の高齢者を中心に孤立や生活必需品へのアクセス制限が進むと警鐘を鳴らした(同紙)。
実際に加賀市で行われた貨客混載では、ライドシェアの空き時間を活用して郵便物を運ぶことで、ドライバーの収益性を向上させている。旅客のリクエストが減る時間帯にも業務が発生するため、待機時間を収益機会に変えられる。また、配送業界の人手不足にも貢献する。
海外では、1台の車両が旅客と貨物の輸送を兼ねることは珍しくない。Uberは日本でもこのモデルを本格導入し、公共交通の補完的存在としての地位確立を狙う。