船の「丸い先端」が消えた!?――いったいなぜ? 低速運航が変えた大型船の常識とは

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「燃費10%削減」とも言われた船首の丸い突起――バルバスバウ。かつて大型船の標準装備だったこの構造が、今や次々と姿を消している。背景にあるのは、脱炭素化と低速運航という時代の潮流だ。海運の象徴は、技術革新の波にどう抗えるのか。

バルバスバウの終着点

クイーン・エリザベスのバルバス・バウ(2011年4月)(画像:PuzzleScot)
クイーン・エリザベスのバルバス・バウ(2011年4月)(画像:PuzzleScot)

「船の鼻先の丸い突起」として親しまれたバルバスバウは、20世紀の海運を支えた重要な発明だった。

 しかし21世紀に入り、船舶に求められる性能や運航環境は大きく変化している。低速運航、省エネ、そして多様な航路条件への対応が重視されるなかで、バルバスバウはもはや万能の構造ではなくなった。

 それでも用途次第では今も意義がある。たとえば、大型客船などでは一定速度での運航が前提となるため、引き続きバルバスバウの効果が期待できる。

 一方、コンテナ船やバルクキャリアなどの商船においては、その姿は過去の象徴的デザインとして記憶されていくだろう。かつて当然とされた形状は、技術革新と運用思想の変化の中で、静かに役目を終えつつある。

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